《MUMEI》

 妖月の表情は晴れない。




「妖月──」




「むぅ‥」




「大丈夫だよ妖月──ほら、君の得意な紙術で──」




「無理なのだ‥」




「そんな事ないよ、妖月──こんなに凄い札作れるじゃない」




「むぅ‥お師匠様にはまだまだ近付けないのだ‥」




「お師匠様‥?」





「私に紙術を教えてくれた方なのだ」




「その師匠は──」




「うむ‥‥‥」




「‥すまん‥付かぬ事を聞いたな」




 桜が俯いた。




 妖月はそれを見るなり、慌てていつもの表情を作る。

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