《MUMEI》
サントスの日本語
(特に俺必要無くないか?)


サントスの日本語は、発音こそ外国人特有の微妙な違和感はあるが、それ以外は全く問題無かった。


こちらが難しい単語を避け、ゆっくり喋れば一人で日本語を理解する事もできた。


ただ、エイミーと同じで、興奮したりすると母国語が出るらしく


打ち合わせ後、真司とサッカーの話で盛り上がっている最中に、時々ポルトガル語で話してしまっていた。


その為


「おい、祐也、通訳。ついでにサッカー部に勧誘して」

〔祐也さん!真司にサッカー部でキーパーやりたいって伝えて!〕

「…はいはい」


(俺、この為に呼ばれたのかも…)


錯覚しそうになりながら、俺は入学式が始まる直前まで、二人のサッカーバカの相手をしていた。


そして、入学式に直接関係のない俺は、体育館を出て


「…何やってんだ、頼」


体育館前でふてくされている頼に会った。


「エイミーの付き添いで来たんだけど…入れてもらえなかった。

アレクは入れたのに」

「そりゃそうだろ」


頼は在校生で、アレクはエイミーの兄…保護者代わりなのだから。


俺の言葉に、頼は納得できないようだった。

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