《MUMEI》 完成品「厳は変わらないよ」 俺の疑問に、頼はきっぱりと答えた。 「あいつは努力して、今のあいつになったから」 「…そうなのか?」 「そう」 少し、…かなり意外だった。 「だから、自分に足りない部分を持ったパートナーが必要だと、俺は思う」 (珍しいな) 頼が厳について真面目に話す事は、滅多に無かった。 「ほら、俺今かなり幸せで気持ちに余裕あるから」 俺の考えを読んだ頼が、本当に幸せそうに笑った。 「ちなみに頼は、どっちがふさわしいと思う?」 頼の意見を聞いてみたくなり、俺は質問した。 「あの二人は、まだ完成してないから、何とも言えないけど… 二人共、厳に無い部分あるから、どっちでも俺はいいと思う。 少なくとも、あのバカ女よりマシだし。 あ、そういえば、祐也はもう知ってる? あの大人しい子の話」 「まぁ、相談受けたし」 図書室で、一生懸命ある本を読んでいた松本に、俺は何度か相談を受けていた。 「あれはポイント高いと思うよ」 「…そうだな」 今松本は、厳のいる男子バスケ部のマネージャーになっていた。 前へ |次へ |
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