《MUMEI》

 唐突に廊下に呼び出された桜。




「どうした?」




「今夜‥一緒に寝たら駄目かな」




「怖いのか?」




「うん‥」




「構わんぞ、私は」




「本当っ?」




「ぁぁ」




「ありがとっ」




(変わらんな──)




 幼い頃、紫苑は桜に付き添ってもらわなければ眠る事が出来なかった。




 今は毎日ではないものの──度々──特にに百鬼夜行の夜などは必ずといって言い程紫苑は彼女の布団に潜り込んで来るのだ。

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