《MUMEI》
nachst Morgen.次の日の朝。
  
昨日までの事を忘れたかのように、あきらは普通に朝食の用意をしていた。

「克哉さんは朝そんなに食べないんですね」
「あ…あぁ…」

あきらに用意してもらったコーヒーを飲みながら、キッチンに立つあきらの後ろ姿をボーッと眺めていた。

(元気だな…)

昨晩アキラは寝ていない筈で、あんなに淫らな姿を俺にさらけ出してくれて、一晩中俺を受け入れてくれた。


『もっと…イジメて…ください///』


なんて言われて内心ガッツポーズはしたものの、その辺は勉強不足でどうしていいものか分からず、はたして彼を満足させられたのか…。

初日なのに、こんなので大丈夫だろうか…。



「そういえば、今日は出なくていいのか?」
「今日は休みですから…一日中一緒に居られますね///」
「そう、なのか…」

彼の用意してくれたパンをカジりながら、テーブルに置かれた彼の綺麗な指を撫でる。

「一日中一緒か…楽しみだな」
「えぇ…そうですね///」

彼を迎えに行くワクワク感も好きだが、ずっとこうやって彼と一緒に居るのはもっとドキドキする。

「今日は一日中部屋で一緒に過ごさないか…外も暑いし」
「です…ね」

ふと外を眺めると、あきらはその視線を追うように向こうの部屋を眺めた。

「克哉さんにあんな事言うつもりは無かったんですけど…」

と言って彼は俺の手を優しく包み込むと、俺を気遣うように微笑みかけてきて、昨晩の事を話してきた。

「……克哉さんがネクタイ持って来たんで…ちょっと昔の事思い出してしまって」
「そうだったのか…」

俺も彼の姿を見ながら昨晩の事を思い出してちょっとニヤケてしまい、アゴの辺りに手をやってそれを隠すが、彼はそれに気付いたようでちょっと頬を赤く染めていた。

「恥ずかしい…///」

そう言うと彼は急に両手で顔を覆い、こっちからも分かるくらい耳まで真っ赤になっていた。

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