《MUMEI》

稟子は俺が貸してやったTシャツを着ていた。

だが、下はなにも履いていないのか、その裾からは彼女の細い生足がはえていて、その姿は健全なオトコである俺にとって、非常に悩ましいモノだった。


稟子は自分の姿を一度見遣り、それから顔をあげて俺を睨みつけた。


「すっぴんのこと言ってんの??ホントにムカつくわね、あんた」





…………いやいや、そーでなくて!!





俺は稟子から目を逸らしながら、言う。


「下、下!?」


俺の台詞に稟子は眉をひそめ、したぁ??と言いながら自分の足元に目をやった。

俺はたまらず、つづける。


「なんか履いてこいよ、バカ!!なんつー格好してんだよ!?」


そこでようやく俺が言わんとしていることを理解したのか、稟子は、あぁ…と気のない様子で頷き、顔をあげた。


「大丈夫、パンツ履いてるし」





…………だーかーらーッ!!





「それがダメなんだってば!?」


俺が死にそうな声で叫ぶと、稟子は面倒臭そうに答えた。


「だって仕方ないじゃない。ズボンもスカートも持ってないし。あんたも替え、ないんでしょ?」





…………確かに、その通りですけど。


けどさッ!!





お互いにソノ気がないとしても、

深夜のひと気のない駐車場のトラックの中で、

フツーのオトコと

半裸に近いオンナが

ふたりきり…………。


この状況で、いたって平然としていられる稟子を、俺は本気で理解出来なかった。


俺はシートの裏側にあるタオルケットを取り出し、それを稟子に押し付ける。


「とりあえず、それ使え!!頼むからッ!?」


必死な様でそう言うと、稟子はタオルケットを受け取りつつ、え〜??と首を傾げた。


「なによー、そんな慌てて…」


「いいから早くッ!!」


渾身の力を込めて叫ぶと、稟子は、あぁ…となにかをおもい出したように声をあげ、サラリと言った。





「勃っちゃう??」





………ハイ、そーです!

Tシャツの下がどーなっているのかと、

妄想しただけで半勃ちに…………。





「…………って、コラァ!?」





.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫