《MUMEI》

 あれきり、戻って来ない妖月。




(まさか夜通し妖達と練り歩く訳ではあるまいな‥)




 いくら妖月でもそれはないだろう、と桜は思った‥‥‥のだが。




「朝まで戻らんかも知れんな」




 狐叉が呟いたものだから、桜は耳を疑った。




(本気かっ‥!?)




 ‥と。




「──ただいまなのだっ」




 ひょっこり、と。




 妖月が、戻って来たのだ。




「意外と‥‥‥早かったな」




 心外だ、とは口には出さなかった。




 だが、妖月が戻って来たのが予想以上に早かった為──桜はぽかんとせざるを得なかった。

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