《MUMEI》 温かいパンに塗り込まれたバターは空腹感を与える。 先生は何か箱を取り出してきた。 「なぞなぞをしようか。手足がたくさんあって目もたくさんある、体中毛だらけの物はなんだ?」 ピンセットで何かを摘んでいる。 先生のなぞかけを察することが出来ず困惑していると、テーブルが僅かに揺れ動く。 貧乏揺すりをしているのだ。 「たわし?」 「はい不正解、ペナルティ」 ピンセットとパンを持って近付いて来た、ピンセットの先を凝視し、答えを知ると声も出ないくらいに喉が締まった。 ピンセットの先には蜘蛛が捕まえられていた。 色は黒に近い、と言うより俺自身が蜘蛛を受け付けられないので直視出来ない。 バターに絡まる蜘蛛ならなおのこと。 前へ |次へ |
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