《MUMEI》

僕がここへ来たのは──‥花禀様がまだ6歳の頃だった。





『花禀、いい知らせだよ──お前の為に執事を雇ったんだ』

『しつじ‥?』

『ほら、篠河君──』

『初めましてっ‥さ‥篠河と申しますっ‥』

『かりんさま』

『はい‥?』

『わたしのことは‥かりんさまってよんでちょうだい』

『ぇ、あの‥』

『‥‥‥もんくある?』

『‥いえっ‥』





花禀様はとても気の強い方で──僕は初対面でかなり弱気になってしまっていた。





けど、お世話をさせて頂く内に──だんだん、花禀様に対する気持ちが変わってきた。

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