《MUMEI》 ‥沈黙。 誰も‥喋らない。 時計の針の音だけが、やけにうるさく聞こえる。 「‥‥‥‥‥‥‥」 アゲハ君は、黙ったまま席に座った。 私は‥動けなかった。 みんなの前で、アゲハ君が何かを言うなんて‥今までなかった。 「──そう、やっぱりね──。貴方は私を嫌ってた」 雪野さんが、席から立ち上がって‥ゆっくりと歩き出す。 「‥もし私がその子なら‥好きになってくれたかしら」 「‥‥‥どうだろうな」 たった一言‥アゲハ君はそう呟いた。 前へ |次へ |
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