《MUMEI》

「あらあら──それでこんなになっちゃったのね──」

「済みません‥解いてもらえますか‥? 絡まってしまってどうにも‥」

「ええ。ふふっ──でもお嬢様が篠河君に三つ編みだなんてね」





苦笑しながら三つ編みを解いてくれているのは、たったさっき帰省から戻って来たメイドの森下さん。





「あら、だいぶ堅いわね‥」

「ぁ‥切ってもいいですよ? そこだけ──」

「それは勿体ないわ──ちょっと待ってね、今──」





森下さんは、ここでずっとメイドとして働いている。




かなりのベテランで──花禀様からの信頼も厚い。





僕とは‥大違いだ。

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