《MUMEI》
それぞれの感想
「くだらない」


カルロスの説明を聞いて、一番呆れていたのは真司だった。


「まぁ、確かに綺麗だけど…あそこまで必死なのはちょっと」


ナターシャとアレクセイが行きたがっている目的地に何度も行った事がある守は苦笑していた。


「で、でも、場所取りとか、すごいですよね」


優しい長谷川は、真司に気を遣いつつも、その場の空気を和ませようとしていた。


その時、拓磨は


(相変わらず、志貴以外どうでもいいんだな)


一人、…ボールを磨いていた。


「桜なら、京都じゃなくてもあるだろ」


真司は更に文句を言った。


「あの二人には、京都は特別でね」


確かにカルロスの言う通り、ナターシャとアレクセイにとって京都は特別だった。


『毎年春と秋は京都に行っていいから、うちの会社入らない?

京都は住むには大変よ。

その点、私の地元はあなた達には過ごしやすい環境だし』


果穂さんが二人を落としたセリフを聞いた時、俺は


(どんだけ好きなんだ)


そう、呆れた程だった。


「…どんだけ好きなんだ」


そして、今


真司も俺と同じように呆れていた。

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