《MUMEI》
親睦会
[…果穂さん達、いないんですか?]


貸し切りの小型バスに乗り込んだ俺は、乗客に日本人がいないのを見て、英語で質問してみた。


「今日は外国人スカウト組の親睦会も兼ねて、花見に行くんだよ」

{{それより進んで!}}

{あ、うん。悪い}


妙な日本語が抜けてロシア語になった後ろの二人に急かされ、俺は空いている席に座った。


「大丈夫。まだ間に合う」


そう言ってカルロスは笑うと、運転手に合図を送った。


こうして、バスは京都に向かって出発した。


『京都で夜桜を見る。花見をしながら、親睦を深める』


それだけが、今回の目的だった。


(強行スケジュールだよな)


花見が終わったら、そのまままた帰るらしい。


「花見って、そんなに重要なのかな…」

「祐也はん!それはあきまへん!」

「人生損どす!」

「そ、そう…どすか?」


(びっくりした)


思わずアレクセイの口調がうつってしまった。


「「そうどす!」」


そんな俺に、二人は花見の良さ


京都の良さ


最終的には日本の良さを、到着するまで延々と語り続けた。

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