《MUMEI》
ゼロ 〜それは見知らぬ人〜
「私は、誰?」

「ここは、どこ?」

突然だが私は、記憶喪失とやらになったみたいである。

交差点を行き交う、無表情の顔をぶら下げた行列。

それを見ると不安が一気に加速した。

冷たい汗が吹き出る。

視界がグラリと傾く。

どうすればいい?

自分という存在が分からないことは、こんなにも恐ろしい事だとは!

私は今立っている通路にうずくまってしまった。

押し寄せる吐き気、めまい。

体が震え、涙が止まらない。

たすけて、たすけて、たすけて!

私は誰にも届くはずのないSOSを発した。

こわい、こわい、こわい、こわいよ。

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