《MUMEI》

 授業が始まっても‥雪野さんは教室に来なかった。




「‥‥‥‥‥‥‥」




 アゲハ君‥教科書を開いてはいるけど‥‥‥ずっと考え込んでいて‥ミドリ達も同じだった。




 たぶん‥雪野さんの事を。




『もう取られたくないんでしょ?』





 ‥うん。もう‥離れ離れは嫌だ。





 だけど‥‥‥雪野さんの気持ちに気付いてしまったら‥何だか‥。




「──サクヤ」

「ぇ‥‥‥」




 アゲハ君‥。




「本当に‥」

「ううん」

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