《MUMEI》 雨は、まだ降り続いている。 紫苑は雨音を聞きながら、書見に耽っていた。 「───────」 飽きもせずに、黙々と。 (姫様ではないみたい‥) 戻って来ていた蓮宮が、心の中で呟く。 「姫様──」 「?」 「ご無理さらなくても結構ですよ」 「ぇ‥」 紫苑の目が、円くなる。 「‥菊宮‥?」 「ぃぇ、ご無理でなければ良いのですが──」 そう言われ、紫苑は笑顔を作る。 (‥ばれたら大変だ‥) 前へ |次へ |
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