《MUMEI》
今後のこと
「あのさ、これからどうすんの?」
ユウゴの向かいに座ってユキナは聞いてきた。
「だから、ちょっとここで休んで……」
「じゃなくて、もし、生き残ったらどうするかって聞いてんの」
「ああ、そっちか」
「そっちかって……。あのさ、生き残るつもりなんだよね?」
「当たり前だろ」
きっぱり言い切ると、ユキナはホッとしたように笑った。
「だよね」
「けど、由井のとこでじいさんが言ってたよな。生き残っても、ろくなことがない。死んだ方がいいかもって」
「言ってたねぇ。でも、そうとは限らないよね」
「……だよな」
しかし、ユキナに言われるまで今後のことなど考えてもみなかった。
生き残ることだけしか頭になかったのだ。
確かに、これからどうなるのだろう。
生き延びたとしても、果たして心理的に元の生活に戻れるだろうか。
いざ、そうなってみないとわからない。
「ね、そういえばさ……」
ユキナが何か言おうと口を開いた時、外に人の気配を感じた。
ユキナもすぐに気付いたらしく、言おうとした言葉を飲み込んで外の様子を窺っている。
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