《MUMEI》

「帰ろうか──」




 アゲハ君が言って、私達は戻り出した。




「昔はこんな物は無かったな」

「うん──」

「随分変わったものだな‥」

「今は当たり前なのに、ね」

「そうだな──」




 懐かしそうな顔をした、アゲハ君。




「本当に変わった──何もかも」

「アゲハ君は──今と昔とどっちがいい?」

「ん‥‥‥そうだな‥」




 少し考えてから、




「両方、だな」




アゲハ君は、そう答えた。




 その答えを聞いて、何だか嬉しくなった。

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