《MUMEI》

「…ヤンガァブラダー(弟)〜ゾン(息子)!」
「やんがぁ?あぁ、若いね、兄弟だから…弟か…あぁ…弟子にしてほしいってか?」

や、やっと通じた、けど…。


”弟か子供みたいに僕を可愛がって欲しい”


って言ったつもりなんだけど、通じているのかな?


辞書に”弟子(DESHI)”っていうのを見つけて、その日本語で言うところの漢字で”弟”と”子供”という意味だというのまで調べた。

日本語の”カワイー”っていうのはドイツ語で言うところの”ズユース”だというのは知っていた。

日本人の女の子やなんかが言っている有名な日本語だし、可愛い子は好きだったから。

分かったかな…通じたかな…彼女、さっきから笑ってるけど…。



「分かったよ、入れば」

そう言うと彼女は部屋を親指で指して”入れ”というジェスチャーをしていた。

良かった!通じたんだ!


ウキウキしながら彼女の部屋に入ると、見た事が無いくらい物で溢れかえっていた。





「散らかってるけど、気にすんな、テキットィージィ…って…ドイツ語でどう言うんだ?」
「…おぉι」

通された部屋は…ゴミが散らかってるってワケじゃないけど、整理整頓はあまりされてないカンジ。

本や書類がいっぱいあって、これはかなり片づけ甲斐のありそうな部屋だな、というカンジがした。


「あー…プリーズシッダン、イズティーニード?(座って、お茶とかいる?)」
「ぉ…ィエス、…プリーズァラロシュガー(はい、砂糖多めでお願いします)」
「やっぱりぃ〜甘いの好きそうだよね♪」

後の方は日本語だったからよく分からなかったけど、なんかちょっと嬉しそうに言っていた彼女のジェスチャーを見て、こっちも何だか嬉しくなってしまった。


彼女がお茶を煎れてくれている間、部屋を眺めながら色々考えを巡らせた。

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