《MUMEI》
十二章 カワラナイモノ
 雪野さんとは、思っていたより早く打ち解けた。




 冷たいとか、恐いとか、そういうのはもうなくて──私は雪野さんと色々話すのが楽しみになってきていた。




「お淑やかって楽じゃないのよ? ずっと静かにしてなきゃならないんだもの──つまらないったらなかったわ」

「でも──お后様って凄いよね」

「形だけ、ね」

「形‥?」

「そう。──ぁ‥貴女髪飾りの事知ってる?」

「あの‥桜の‥?」

「ええ。黄羽はあれを貴女にずっと渡したがってた──」

「───────」

「あれ、特別に作らせた物なのよ?」

「ぇ‥」

「大切な人の為に、って」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫