《MUMEI》 十二章 カワラナイモノ雪野さんとは、思っていたより早く打ち解けた。 冷たいとか、恐いとか、そういうのはもうなくて──私は雪野さんと色々話すのが楽しみになってきていた。 「お淑やかって楽じゃないのよ? ずっと静かにしてなきゃならないんだもの──つまらないったらなかったわ」 「でも──お后様って凄いよね」 「形だけ、ね」 「形‥?」 「そう。──ぁ‥貴女髪飾りの事知ってる?」 「あの‥桜の‥?」 「ええ。黄羽はあれを貴女にずっと渡したがってた──」 「───────」 「あれ、特別に作らせた物なのよ?」 「ぇ‥」 「大切な人の為に、って」 前へ |次へ |
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