《MUMEI》

「俺らは違うぜ?」


頭上で声がした。


「智也?

お前聞いてたのかよ!?」


一希の驚いた声が聞こえる。


「まあな。」


智也はそう言って高らかに笑うと、俺の右隣りに座り込んだ。


渋々一希も同様に座る。


「何が違うんだ?」


身体を起こし、奴らと向かい合うようにして胡座をかいた。


「俺は幼い頃からお前をみてきた。

だから、少しはお前が苦労してきたことを分かっているつもりだ。」


智也は普段見せることのない、真剣な表情をしていた。


一希があとに続く。


「決してお前が楽してここまで来たんじゃないってのもわかる。」


俺だって分かってるよ。



お前らは何か違うって。


だけどな?


「すまん。」


信用出来ないんだよ。


「自分しか信用できんのや。」

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