《MUMEI》

「女々しくなんかないよ」

「‥?」

「雪野さんは強い──」

「それは違うわ‥私は強くなんかない。強かったら──貴女達の仲を引き裂こうなんて思わなかったはずだもの」




 匂袋を‥ぎゅっと握り締める雪野さん。




「何やってたのかしらね、私」




 困ったみたいに、笑う。




「彼が幽閉された事‥私が貴女に教える事も出来なくはなかった。でも動けなかったわ‥黄羽を取られたくなかったの。黄羽もうづきも両想いだって分かってたのにね」

「───────」

「此花さん‥?」

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