《MUMEI》

セイルはジェルマに
帽子を被せその姿を
隠す様に歩かせた。


『え?セイル…何処
へ行くの?』

セイルは黙ったまま
歩き続け…ある古い
家のドアを開けた。


『さあ…入れよ。』


『え?ここは?』


バタン…
ドアが閉まる


『オレん家…』


パタパタと足音が
近付いて…

『お兄ちゃん、お帰
りなさい』

少女がセイルに飛び
付いて来た。


『ただいま〜リーナ
リオンの様子はどう
だ?』


『うん!大丈夫だよ
熱もないし…あれ?
お客さん?』

少女はまん丸目玉で
僕を見つめた。

『はじめまして、リ
ーナ』

挨拶しながら帽子を
脱いだ僕を見て見る
見る顔が赤くなる少
女…


『…天使様?うわっ
大変!お兄ちゃんが
天使様を連れて来ち
ゃった〜!』

叫びながら奥の扉の
中に入っていく。


…え?天使様って僕
の事?かな…

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