《MUMEI》 突然、世界が モノクロになった日 あれほど色鮮やかに 輝いていた日々が嘘 の様だ… 僕は毎日無気力に膝 を抱えて踞る… 『お父しゃん?ご本 読んでくだしゃい』 まだ幼い娘が僕に 絵本を差し出す。 君に瓜二つな娘… どうしてだろう… あれほど幸せの象徴 だった娘が… 今は…僕には深い 悲しみを思い出さ せる象徴でしか無 いなんて… 『お父しゃん?』 不安げに僕を見る瞳 『ごめん…お父さん 頭が痛いんだ、お姉 ちゃんに読んで貰い なさい』 僕の妹に読んで貰う ように告げる。 娘はこくりと頷き小 さな足音を立てて消 えた。 前へ |次へ |
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