貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
「対峙」
気がつけば雨は止んでいた。
雲の切れ端から月光が差し込み、疾風は正体を現した。
整った美しい毛並み、雨の雫が月明かりを反射して、その獣を宝石のように輝かせた。
殺気立ちながらも黒豹は凛とした態度で俺と対峙している。
「何故、人間なんかになったの?」
豹は口を開いた、いや、動物は話すことは出来ない。
これは「同じ」種族が可能な意志の疎通だ
「まだ、完全になっちゃいないさ」
「…どうして?人間は森や獣達にとっての天敵なのよ、そんな人間に何を惹かれたというの」
豹は悲しそうに眼を伏せた。
「彼女」は独りぼっちだった俺にとって唯一の心の支えでもあった。
だが…今は
「あなたが憎い人間になってしまう位なら…」
「位なら…なんだ?」
ギリギリと牙を剥き出し、彼女は戦闘体制に入った。
「私が、殺す」



俺に迷いはなかった、親しかった彼女に対しても躊躇することなく「武器」を構える。

自らの牙を折り、作り上げた獣の「剣」を

「誇りであった牙を折ったのね…」
「人になるという決意は、並大抵のことじゃないからな」

剣など扱った事など無い。
だが、今まで俺を殺そうと挑んできた人間達の真似事なら、多少はできる。
「理由を教えてくれないのね」
「……………」
言えば、彼女は傷つく
「黙りね…なら、死になさいッ!」

黒い獣は俺を喰らう如く疾走した

前へ |次へ

作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ