《MUMEI》 銀色の鍵が一つ皿の上に乗っていて、俺はそれで安西の居る部屋の扉を開けた。 「先生が居なくなったんだ。 安西、追い掛けなきゃ!先生の様子おかしかった!」 去り際の先生は穏やかで、それでいて寂しげだった。 「あんな奴のことは放っておきましょう!逃げるんです。」 「だって、先生が!」 懐かなかった祖母の家の猫が、一度だけ触らせてくれた。 その次の日、居なくなったんだ。 「俺の方が大事ですよね?」 安西の言葉が胸を刺す。 「……でも、でもね。目の前で救いを求めた手を取らないなんてこと、したくないんだ!」 安西の手を振り払う。 ……足元に何かが落ちた。 携帯電話だ。 前へ |次へ |
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