《MUMEI》

「警察が、もうじき来るんです。だから、早く出ましょう。」


「じゃあ、尚更先生を追い掛けなきゃ!」


「もう、貴方って人は……」


安西の溜息と共に、携帯電話が割れた。
正しくは、安西の足で壊されたのだ。
そういえば、鍵に夢中であまりはっきりと覚えてないが皿の横には携帯電話のような機器が置いてあったようだ。


「安西?」


「有志ですよ。」

力無く笑う。


「携帯が……」

言葉が詰まる。


「もう、必要無くなったんで切りました。先輩、有志、ですよ。」


「安西?」


「有志って呼べないんですか?前は呼んでくれましたよね、槙島やウチ先輩は呼ぶくせして……卑怯者。」

見たことの無い安西が居る。
今更、神部の言葉の意味が頭を掠めた。


ここ最近、安西は逞しくなった、俺なんかは簡単に組み敷かれてしまう。


「イイコト教えてあげましょうか?」

安西の口元だけが笑ってる。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫