《MUMEI》
謎のプルジンスキー教授
プルジンスキー教授のアパートは ボクのアパートから自転車で数分のところにあった 。
元々旧家を改造したらしくその優雅なレンガ造りのアパートは、ボクの住む雑多な場所とはちがい 静かな佇まいの旧家が立ち並ぶところにあり、 一見あのブラームスを思わせるような無造作なヒゲ面に遠慮ない長髪の風貌をした教授の事は
この辺りの人間なら誰でもが知っていた 。


ボクが初めて招かれた教授の部屋は 一室が書斎で さすがに大学教授らしくずらりと壁に沿った書棚には 英語やロシア語に翻訳された 専門家書らしき一群が上から下まで立ち並び 重厚な木目の机の上には 実験器具の片割れたちや古い何に使うのかよくわからない様な骨董品等が置かれていたりした 。

隣には寝室を隔ててキッチンがあり そこでボクはよく ロシア式のお茶を入れさせられたけど ボクはコーヒーの方が好きだったので 次第にコーヒーに変わっていった 。

何にせよボクの2DKとは大違いだが……更に奥にもう一室ドアに鍵の掛かった部屋があったが プルジンスキー教授はその部屋だけは実験中とかで…とうとう最後まで中を見せてはくれなかった 。

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