《MUMEI》 「──やっぱり森下の料理が一番ね──」 舌平目のムニエルに、ご満悦な花禀様。 「ぁ‥花禀様──本日のレッスンは如何でしたか」 「楽しかったわよ? ふふっ──神山に褒められたの♪」 「──それは‥何よりですね──」 素直に喜べないのは‥どうしてなんだろう。 お嬢様が喜んでらっしゃるのに‥。 『──ぁ、まだいたんですね篠河君。もう追い出されていないのかと思っていました』 確かにあいつは嫌味な奴だ。 でも‥花禀様は神山といらして楽しいんだ。 なら僕は‥喜ぶべきなんじゃないか‥? そうだよな‥? 前へ |次へ |
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