《MUMEI》

「どうって──こうやって──」




 妖月はさも当たり前のように、黒手毬をぽんぽんと投げ始めたのだ。




「妖月っ‥お前何を‥」




「ん? 遊んでいるのだが?」




「ぃゃ、だから‥‥‥」




(何故放り投げるのだ‥?)




 妖なのだから‥‥‥と桜が思っていると。




「はいなのだ桜の姫っ」




「!?」




 いきなり飛んで来た黒手毬。




「おまッ‥危ないではないかっ」




 桜が間一髪の所で受け止め、言った。




(ていうかこ奴‥嫌がって‥いないよう‥だな)

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