《MUMEI》

「──そろそろ帰りましょうか──」

「じゃあ私、リコちゃん家まで送ってあげるね」

「大丈夫だよ♪」

「でももう暗くなってきたし‥」

「すぐそこなんだ、あたしのお家♪」

「そうなの‥?」

「うんっ」




 頷いて、リコちゃんが瓦屋根の家を指差した。





「ねっ、すぐそこでしょっ?」

「ほんとだ──」





 あそこがリコちゃんのお家だったんだ‥。




「お姉ちゃん達はどこに住んでるの?」

「向こうの団地」

「そっか──。じゃあまたね、お姉ちゃん、お兄ちゃん♪」

「うん、バイバイ」

「──ぁ!」

「?」

「桜餅ありがと♪」

「どう致しましてっ」

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