《MUMEI》

「時に妖月──黒手毬とはどういう──」




「ぁぁ──偶然知り合ってな?」




「偶然っ‥!?」




 偶然で親しくなるのか‥と、桜は驚かずにはいられない。




 いくら妖月が友好的であるとはいえ、得体の知れない妖と親しくなる事など有り得るのだろうか。




(彼女ならなくもない‥かもな)




 桜は、そう思い直す。



(──にしても‥変わった妖だな‥。ん‥‥‥何故こっちを見る‥?)




 黒手毬の金色の円らな瞳に、暫し釘付けになっていた桜だった。

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