《MUMEI》

昼下がりの、蒸し暑い天候の中。


三人は風通しのよい、あるコートの一角で何やら話し合っていた。


だが先程と違うのは、俺が一方的に話すばっかりで、智也と一希が仕切りに相槌を打っていると言うこと。


知ってもらいたい。


ただそんな思いだけで、自分の過去を語っていた。


自分を一番、変えてしまったあの出来事を。







・・・あれは、俺が中学に上がったころやった。


その時は日本を離れ、ブラジルに留学していた。


単身で違う地元のチームに参加することは、とても不安だった。


だけどチームメイトが快く向かい入れてくれたおかげで、俺は一週間も経たずうちに、直ぐに打ち解けることができた。


あの時のチームメイトを思い出して、自然と笑みが零れる。


「それでな?

更に嬉しい出来事があったんや。」

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