《MUMEI》 「ここではまずい。 とりあえず中に入れ。」 グレイトが俺の背中を押した。 「じゃあ私はこれで失礼する。」 ラルフは翼を広げ、飛び去って行った。 おそらく、グレイトから受けた傷を癒しに行くのだろう。 傍目から見ても、ラルフは傷の痛みに耐えていると伺えた。 グレイト、おそろしや。 俺は改めて、グレイトの強さを思い知ることとなった。 中に入ると、玄関からして感嘆のため息しか出なかった。 全てが広い。 玄関なんて、一部屋分はありそうだ。 足元はこれまた高貴な大理石があり、所々、鮮やかな色をした石がちりばめられている。 前方に続く廊下は赤を縁取った、黒い絨毯(ジュウタン)が永遠と続いていた。 「ほら、突っ立ってないで早く上がれ。」 グレイトの一声でようやく我に返った。 そして前にある段差に右足を掛けた時。 「ちょっと待て。」 今度はグレイトの、慌てた声が聞こえた。 前へ |次へ |
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