《MUMEI》

『うん、大丈夫だよ
多分…あなたが居る
からね』

幼い姪の目線に合わ
せる様にしゃがんだ


『ホントに?』


『お姉ちゃんを信じ
なさい…あなたはお
父さんが大好きなの
ね…』


『うん…大好き』


『そう…早く元気出
して貰わなくっちゃ
ね…お兄ちゃんに…』
独り言の様に呟く。


そして幼き姪をそっ
と膝に乗せ絵本を読
み聞かせた。


*********


コンコン…
『お兄ちゃん?』


部屋の隅に膝を抱え
て踞る兄の姿が見え
た…


瞳に深い悲しみを
湛えて…


『お兄ちゃん…辛い
気持ちは判るけど…
そろそろ立ち直って
よ…あの娘の為にも
…』


『……』


『お兄ちゃん?』

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