《MUMEI》

「──こんにちは、花禀お嬢様」

「神山神山っ、こっち来て♪」

「?」

「あのねっ?」

「──花禀様」

「何よ篠河」

「そのっ‥レッスンの時間が押してしまうと神山先生も大変かと‥‥‥」

「平気よ、すぐだもの。──ねっ、神山?」

「はい」

「神山さんっ‥!?」

「お嬢様のお望みなら、何でもお聞きするつもりですが?」

「ぇ」

「参りましょうか」

「うんっ♪」

「花禀さ‥‥‥」

「行きましょっ、神山♪」

「はい、お嬢様」




神山さんは、ニコッと花禀様に笑いかけてから、僕の方を見た。





‥何か‥笑っているような‥。




ぃゃ‥確実に笑っているな‥。

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