《MUMEI》

 初めは驚くばかりだった二人も、日が経つにつれ黒手毬と打ち解けてきた。




 そんな二人と一匹の光景を目の当たりにした菫と葵が、度肝を抜かれたのは言うまでもない。




 二人でなくとも驚くだろう。




「ん、どうされたのだ?」




 そこへ通り掛かった妖月。




 驚く二人の式部を見上げ、きょとんとする。





「おおっ、黒手毬なら心配ご無用なのだ──大人しい妖だから」




「左様‥でございますか‥」




 頷くも、未だ驚きの色を隠せない二人であった。

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