《MUMEI》

「篠河君」

「‥はい」

「君がいてくれて──花禀は随分助かっているはずだよ」

「こんなドジ執事でも‥ですか‥?」

「私が君を執事にしたのは──君が花禀にとって必要だと思ったからなんだ」

「‥‥‥‥‥‥‥」





僕が‥花禀様に必要‥?





『‥眠れないの。入れて』

『試してみたかったの。あんたがただのバカ執事かどうか、ね』

『ふふっ、可愛い』





そうなんだろうか‥‥‥。





本当に──僕は花禀様にとって必要なんだろうか‥‥‥。





『──神山っ♪』

『神山神山っ、こっち来て♪』





花禀様にとって必要なのは‥‥‥‥僕じゃなくて神山さんなんじゃないのか‥?

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