《MUMEI》 柊 海帆入って来たのは女子だった。 髪は腰より少し上で切り揃えられていて、背はすらっと高め。 そのうえ細く、色白であった。 《美人》 まさにその言葉が ピッタリだった。 男子群の目が一瞬にして輝いたのも無理はない。 確かに人目をひく美人ではあるが、俺は彼女の目が嫌いだ。 冷たくて、何の感情も込もっていない目。 俺は、その目が嫌いであると共に、彼女に対して言い表せないような不気味さを感じていた。 「じゃあ簡単に自己紹介して」 「…はい。"柊 海帆"です。以後よろしくお願いします」 「席は、あの空いてる所な」 「はい」 ん?ちょっと待て! 確か俺の右隣は ………空席だ。 よりによって隣かよ…。 俺の気を知るはずもなく、皆が俺を羨ましそうに見る。 あー、そんな目で見るんじゃねぇ。 ……それにしても、外見はマジで綺麗だな。でも、あの目がなぁ。 ――あれ? 今、目が合った瞬間に 睨み付けられたような… 彼女は俺の隣の席に静かに座った。 隣に座る彼女の横顔を 眺めてみる。 う〜ん…睨み付けられたような気がしたんだけどなぁ。 気のせいか? ……うん、多分そうだ。 だって、睨み付けられる理由なんてねぇし!! 俺があれこれ考えている間に授業は終わり、休み時間になっていた。 彼女の周りには、既に人だかりができている。 「ドコに住んでたの?」 「海帆って呼んでもいい?」 「趣味とか特技は?」 転校生にされる定番のような様々な質問に彼女…… いや、ずっと彼女というのも失礼だな 柊は、一つ一つ答えていった。 前へ |次へ |
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