《MUMEI》

「神山は気が利くわね──あのバカ執事とは大違いだわ──」

「いえいえ」

「ねぇ、神山暇な時ってないの?」

「あまり──‥ですがお嬢様のお望みなら時間作りますよ」

「じゃあっ、来週楽譜一緒に見に行かない?」

「宜しいのですか?」

「神山と行きたいの♪ いいでしょっ?」

「──はい、喜んで」




などという会話が偶然聞こえてしまったんですが‥。





これは‥‥‥ッ。





「篠河君?」

「ぅわあッ!?」

「あらごめんなさい──驚かせちゃったかしら」

「奥様っ‥」





今の会話は‥聞こえてらっしゃらなかったです‥よね?

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