《MUMEI》

「ねぇ桜──」

「ん」

「今夜──満月だよね」

「ぁぁ──」

「後半分で終わっちゃうね──遊戯」

「まだ半月もあるぞ?」

「うん‥‥‥」




 小さく頷く紫苑。




「──ぁ」




 ふわりと舞い込んで来た花びら。




 すると。




 それに続くようにして、蝶が一匹。




 更に。




「こんにちはなのだっ」

「来たか──やはり」




 最早、いきなり現われた妖月には全く驚かなくなっている桜。




 紫苑は別として。

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