貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》「対峙」-2
加速された爪撃をギリギリで避わす。
人間体で感じる豹のスピードは想像以上だった
「速いな…レイニー!」
俺は女豹の名を叫ぶ。
負けじと下段から切り上げるが、易々とかわされてしまった。
「前のあなたなら避ける必要なんて無かったのに」
以前の俺なら、巨大で全てを受け止め自分の土俵に持っていくことは出来ただろう。
「勝てないわよ」
「どうかな…ッ!」
斬撃か風を裂き、交差する。
(眼は、変わっていないか)
加速していくレイニーの動きにも眼はついていくことができた。
「自慢の眼は生きているようね」
レイニーは自身の毛色を闇に溶かし姿を隠していた。
彼女の得意とする戦法だ
(気配を完全に絶ったな)
獣達が生存競争の中で最も研ぎ澄ましたもの、それは「気配」
戦いに熟練している彼女は完璧に「闇」と化していた。
俺は全身の毛を逆立てた、自らも景色と一体化する、これが唯一の対抗手段
(これで決める…)
吹いていた風も、この戦いを見守る様にピタリと止んだ。
音....
一閃
斬撃が闇を裂いた。
「か……は」
深紅を噴かし、女豹は地に伏した
俺は剣を鞘に収める。
「何を…躊躇った」
一撃の瞬間、彼女が躊躇ったのを俺は見逃さなかった。
それが、勝負の分かれ
女豹の息は荒い
「言った…でしょ、あなたの眼は、生きて…いるって」
つぅ…っと目から涙がこぼれた。
「あの眼は…森を守っていた時の」
「レイニー…」
やがて女豹は静かに眼を閉じ、歯切れのいい声で最期に
「フィンク…す…きだっ…た」
また、雨が降り出した。
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