《MUMEI》

 少しして戻って来た碧山君。




「?」




 本‥?




 碧山君が脇に抱えているのは、分厚い本。




「──ぁ、これですか? 昔の資料なんですけどね──。‥ぁ‥ミドリ寝てしまったんですか?」

「うん──かなり眠そうだったから」

「何かあったんでしょうか‥」

「お説教されたんだって──翡翠に」

「翡翠に‥?」

「うん」

「何故ですかね‥」

「『ちゃんと認めなさい』って──青嵐との事」

「──そうですか──」




 寝息を立てているミドリを見つめながら、碧山君がちょっとだけ笑った。

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