《MUMEI》 そう言われて──桜の側に来た。 ──本当だ。 綺麗──。 「覚えているか‥? 話している内に時間を忘れて──こんな風に夕方になってしまっていた時の事──」 「ぁ‥、うん。覚えてる」 あの日の夕焼けも、綺麗だった。 その中で舞っていた桜も。 「──アゲハ君」 「‥?」 こっちを向いた、君の顔に‥ 「───────」 私は見とれてしまった。 夕焼け色の中で、菫色になった瞳。 桜に負けない位、綺麗だ。 前へ |次へ |
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