《MUMEI》

ふと娘の不安げな視
線に気付き、弱気を
振り払う。


『冷蔵庫に何にも無
いから買い物に行こ
うか?』

娘を胸に抱き上げて
言う。

コクリと頷く娘。


久方ぶりの街は〜賑
かで…アチコチにツ
リーが飾られイルミ
ネーションが輝いて
いた。

そうか…クリスマス
なのか、悲しみに囚
われて気付かなかっ
た…。

街頭でクリスマスケ
ーキが売られている


『ケーキ買おう?』

娘に告げ、歩き出し
た僕の目の前に…

ふわり、ふわりと白
い物が舞い降りる。


『……雪?』

天を仰げば…僕らを
包み込む様に静かに
降りて来る…


…暖かい?まさか…
雪が暖かいなんて…


娘に雪だよと言い、
抱き上げた。


娘は両手を上げ空に
向かい叫んだ!



『ありがとう!』

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