《MUMEI》

 昨日見たあの景色の事を話そうと思って教室に入ったら、ミドリが言った事に私はびっくりした。




「ツバキが? ほんとにっ?」

「うん。あたし見ちゃったんだ〜、昨日ツバキが加藤先輩と歩いてるの」

「加藤先輩‥?」

「ぁ──ほらっ、噂をすれば──」

「‥ぁ‥」




 ツバキ。




 隣りにいるのは──加藤ジュン。




 三年の先輩で、笙が凄く上手い。




 雅楽が大好きで、雅楽部を立ち上げて部長をやっている位。




 そんな加藤先輩と、ツバキが楽しそうに話をしている。

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