《MUMEI》

「──ね、何かいい感じじゃん?」

「うん──」

「何だ‥?」

「ツバキと加藤先輩──」

「ん‥‥‥、何か話でもしているのか‥」

「昨日二人で歩いてたんだよ?」

「昨日?」

「うんっ。本屋の側歩いてた」

「───────」

「菜畑?」

「───────」




 何か意味深な顔をして、席に着いたアゲハ君。




「菜畑君──あの人は──」

「ぁぁ」

「えっ──何? 二人共知ってんの?」




 ミドリが訊いたら、アゲハ君と碧山君が同時に頷いた。




「彼は一流の雅楽師だった」

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