《MUMEI》
基準は厳
石川が作ったオムライスは確かにおいしかった。


松本が作ったミネストローネとポテトサラダも、おいしかった。


ただ…


「ごめん…多すぎる」


量が、俺には多すぎた。


「あっ…!」

「す、すみません!」


(そこまで謝らなくても)


元々、俺は食が細いのだから。


すると


「え〜? 普通じゃない?」


厳が、俺が残した料理に手を出しながら、首を傾げた。


「「だって厳君サイズだから…」」


(そういう事か)


二人はついいつものように、厳を基準に料理を作ってしまったらしい。


「いいよ。明日また食べるから」

「「すみません…」」

「いいよ。そろそろ皆帰りなよ。厳、ちゃんと二人を送れよ」

「あ、うん」


三人は、俺が夕飯をちゃんと食べるのを見届けて


帰ってから、夕飯を食べる予定だった。


それも、俺を心配する志貴の指示だった。


三年になり、志貴が俺と学校以外で関わるのはバイトが休みの日だけになっていた。


ちなみに、柊が来るのは、土日が多く、大体希先輩も一緒だった。


二人は将来の為に、それぞれ頑張っていた。

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