《MUMEI》
痩せた理由
大志さんの課題を仕上げた翌日は、俺は疲れている事が多かった。


「…もしかして、祐也が痩せた理由、おじいちゃん?」

「違う違う!」


休み時間。


自分の席でいつものように寝ようとしていた俺の頭上に降ってきた志貴の声に


俺は慌てて顔を上げ、否定した。


「だって…」

「疲れるのは本当だけど、違うよ」


(むしろ気が紛れるし)


課題に取り組んでいる時は、弘也の事を忘れられた。


学校の宿題は


…俺には、簡単過ぎたから。


(いっそ、京都に転勤してくれたら良かったのに)


相変わらず俺が京都にいると思っている弘也は、先日京都に転勤したいと弟である現当主に訴えたらしいが


『身内でも、そんなわがままは許さない。それに、京都に行っても兄さんに出来る仕事は無い』


旦那様が指名しただけあり、現当主は非常に有能な人間で、実の兄にも容赦無かった。


『今回は、それが裏目に出た』


忍は、残念そうにそう俺に報告した。


「祐也? 聞いてる? じゃあ、何で最近痩せたの?」

「…忍のせい。会えなくて寂しいから」


俺が忍に言われた理由を口にすると、志貴はあっさり納得して、励ましてくれた。

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