《MUMEI》
陸上クラスマッチ
(いい加減、諦めればいいのに)


六月に入っても、相変わらず京都に行き、弘也は俺を探しているらしい。


「大丈夫? 祐也」


体重は、夕飯見守り作戦がきいて、元に戻ったが、確実にため息が増えた俺を、志貴は心配していた。


「あぁ…」


(それより)


「うおぉぉぉ!」


「祐也は今年は100メートル走とリレーだけでいいからね」


「とおぉっ!」


「志貴… 拓磨が跳んでる、みたいだけど」


俺は、俺の代わりに走り幅跳びに出て、陸上競技場の一番目立たない所で


精一杯志貴にアピールしている拓磨を指差した。


「あぁ…それより祐也。日焼け止めちゃんと塗った?」

(ドンマイタクマ!)


俺は、この日


陸上クラスマッチで『イエスタクマ』よりも、確実に『ドンマイタクマ』が定着していくのを肌で感じていた。


(だって皆俺と同じ目してたし)


その後


志貴は三年連続で複数の競技で一着になり


拓磨は、気合いの走り幅跳びで三位


根性の走り高跳びで五位


涙の10000メートル走で


「くそう!去年一位取れたのに!」


惜しくも二位になり、…倒れた。

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